こんばんは、またしてもKです。
前回記載のエンクロージャーキットの改定に関する記事を書いてから間もないですが、その中でも書いていたように新しい試みとして、穴あけ済みのパネルの単体販売を行います。
初代のエンクロキットでは、お世話になっていた工場がお安くやっていただいていたのであの価格を実現できていたのですが、当初の見積もり以上に大変だった事と、普通の顧客が求める以上の品質要求に対してクリアするにはこのような価格では折り合いがつけられないという事で「次は勘弁して」と言われていたのですが、今回のキットの企画にあたり、あれから2年以上経過しているし、なんとかなるかなと思ってお伺いは立てたのですがやんわりと何度も断られました(汗
という事で1からふりだしに戻り、4社ほど当たってみたのですが、一見とはいえ見積もり単価が今までの単価からは想像できない金額が2社から出てきまして、残りの1社は品質要求に対しての妥協とともに見積もりを頂いた次第です。
その1社もそこまで常識外の単価ではないものの、1000枚発注の1枚当たりで数百円という見積もりででしたので、そのベースから弊社での販売価格を決定すると普通にお高い感じになってしまうという面白くない状況になりそうだったので流れました。
もう1社は途中で返事がなくなったので単純に断られたんだと思います。

と、これが今年の3月か4月くらいの話で、その後結局良いタイミングでサークルカッター(自在錐)の取り扱いが始まったので、ユーザー様に加工してもらう前提のブランク板の状態でのスタートとなったのですが、「加工が必要な分凄いインパクトを!」との思いで強烈な販売価格へ繋がっていくのでした。
実際このMDFの材質を購入されて加工された方はわかると思うのですが品質は日本製だけあって相当良いです。
最近SUMMER AUDIOというブランド名でMDFの2WAYとフルレンジのスピーカーを製造した経験があるのですが、この品質のMDFにしようとしたら定尺で一番安いのと比べて3倍くらいの価格差があるくらいです。
比重や固める材料、強度、均一性などに差があるという事で値段差相応の性能差があるという事でした。
結局今販売させて頂いているエンクロージャーキットのMDFって現地ではかなりお高いものなんだと思います。中国現地で日本レベル品質のものを求めると逆にコストが高くなる現象の「あるある」ですね。

さて、話は大分それましたが、本題に入りたいと思います。

エンクロージャーキット販売開始後早い段階で、未購入のお客様よりお問い合わせフォームから多数、購入者の中からメールで6件の「穴あけ済のものがあれば手間なくスピーカーが作れて手軽に購入できるので販売してほしい」とのご意見をいただきました。
確かに、個人の方が穴をあけるとなると電動ドリル若しくはボール盤も必要ですし、実際私の方でも試作する際には穴をあけるだけでもそこそこ時間がかかりましたし、準備や片付けも含めると十分な手間になっていると感じていました。
それは重々承知しています。なんとかしたいのも山やマンなんですが前述のとおり高すぎる販売価格では私自身納得いく訳もなく、地団駄を踏むしかなかったのです。

そして、エンクロージャーキットの出荷準備にも追われながらの中でふと思い立った訳です。
木工工場にあった設備の規模の小規模版を倉庫の一部スペースを使って作ってみれば、効率良く外注の単価以下でいけるかも。。。
そして算段している中楽観的観点から、現在の「電動工具をお持ちの方若しくは購入する」という条件下での販売でも現在大変ご好評いただいている訳なので、じゃあ木工用ボンド、ドライバー、ペンチのみで作れるようになればそのパイは数倍になると推測し、イケソウナキガスル

と、とても安易に思いついたのを皮切りに、さっそく情報を集め木工をやっている友人にも意見を聞きながらどうすれば時間を詰めて効率化できるか、倉庫なので粉塵などの対策を十分にする必要があるなど、意見をもらいながら必要設備の洗い出しををしながら、結局倉庫も穴あけ専用にスペースを用意したり、準備を進めて逝きました。

要となるのは、粉塵用集じん機。
ここは業務用の十分な吸引力と容量のあるものをチョイスしながら、そしてサブの掃除機タイプの集じん機、コンプレッサー、ボール盤、各種切削用ビット、防護装備、粉塵誘導ファンなどなど、最初ネットで売ってる安いのを買えば設備コストもそこまでかからないので、設備コストを販売単価に乗せてもそこまで高くならないだろうと踏んでいたのですが、友人の木工職人に設備購入予定リストを見せたところ、ほとんど却下されました(俺汗
きちんとするなら、最低限日本メーカー品で業務用の物じゃないと量を作れないし、量産の際に効率が大幅に下がる原因となる旨、もう一つはホームユースの物は連続稼働を想定していないものが多く、連続使用での耐久性が望めない、ノーブランド品などは絶対ダメと念を押されました。
手痛いご意見を頂き、結果的に落ち着いた設備の内容としては、コンセプト上での販売価格(=現在決定している価格)だと人件費を無視したとして設備費だけ償却するには8000枚!
「まぁ、メンテナンスをきっちりしておけば長期的に使えて資産になるからメリットは大きいよ」という励ましのお言葉をいただきましたが、、穴をあける人件費も考慮しつつ8000枚売るのにどれくらいかかるんだろうと。。。

効率、耐久性、安全性、性能を考慮した結果、設備代が思いのほか高額になってしまったので別の解決方法を考えました。
今月は決算月ですのでこのタイミングでの設備投資はそこまでストレスがかからないですし、設備費全額の償却は考慮しない方向でオチをつけつつ人件費単価と少しだけの設備償却費の割り当てで現在の価格となってます。