2020年3月25日 追記
■チューニングモデルの測定合格基準
人間の音源(音の方向)特定能力は非常に優秀なのですが、その判別は主に左右の耳に届く音の時間差を感じ取って判断しているのをご存じでしょうか?2chステレオの定位で重要な左右の音量差は、実は本来の人間の感覚とは少し違う方法で音の方向を決定しているんですね。
さて、そこで2chステレオで左右のずれを感じる始める音量差ですが、人間が水平方向の位置を特定しやすい静かな環境の会話時音量60dBで約3dB程度と言われています(興味のある方は、環境工学の騒音の論文など調べてみてください)。
正弦波は周波数が一定で定位が分かり難いので、実際に音楽を再生して音量差をつけても、3dBの差はやや口が大きい程度にしか感じないと思います。
チューニングモデルは、そこからさらに厳しい左右差2dB以内を最大値とし、経年劣化も考え初期値で1.5dB以下へと追い込んでいます。これは真空管がレガシーな能動素子で、時間経過とともに特性が変化するために左右差が出やすいのを考慮したからです。
ちなみに、真空管がマッチドペアでない場合は最大4dB程度の差が出ます。
※定位計測のお話
▼▼ ベースモデル FX-AUDIO- TUBE-P01Jのご紹介 ▼▼
FX-AUDIO- TUBE-P01J [チューニングモデル] ご購入予約申し込みについて、多数のお申し込みを頂き誠に有難うございます。
想定を遥かに上回るご予約を頂きました為、購入予約申し込みの受け付けを一旦停止させて頂きます。
想定を遥かに上回るご予約を頂きました為、購入予約申し込みの受け付けを一旦停止させて頂きます。
こん○○は、先輩が私の入院をブログに上げたのを最後に、消息不明だったサポート新人のAです(^ω^;)
退院してからはサポート業務を離れ、開発に従事しておりましたが、皆さんはお元気でしたか?
今日は入社以来2年越しで開発に携わっていた「シングルエンド純A級 真空管プリメインアンプTUBE-P01J」が、とうとう発売にこぎつけられたので嬉しくって出てまいりました。
色々と紆余曲折があってお話したいことは山ほどあるんですが、今日は初回に数量限定で販売になるチューニングモデルのご紹介です。
実はTUBE-P01Jの元となった「TUBE-P1」は2年以上も前からあって、月に2~3通はお問い合わせメールをもらっていたんです。
ですが、日本市場での販売には問題が多すぎて投入できず、暇を見つけては社長と改良を続けていました。
そして昨年秋発売での目途が立ったところで・・・はい、私が入院して戦線離脱しました。
m(__)m ハツバイエンキノ ハンニンハワタシデス
最終の仕上がりを確認して、マッチを取るって段階で入院したので、業務がパンクしてプロジェクトはストップ。
再開は私が復帰するまで無理ってことで、正月明けの職場復帰から開発に専念して、なんとかお届けすることができるようになりました。
復帰して2か月も何をやってたのかとお叱りを受けそうですが、「TUBE-P01J」の本質に関わる「音質と定位」で、定位の確認に手間取ってたんです。
音質に関しては、低価格帯真空管パワーアンプの中では、明らかに別格と言っても良いほどに磨き上げたのですが、定位に関してはユーザー様のご使用環境なども問題になるので難しい部分があります。
真空管オーディオに詳しい方なら良くご存じかとは思いますが、「TUBE-P01J」は俗に言う「ミニワッター」に分類されるシングルエンド純A級の小出力機です。
その最大の魅力は、真空管の特性により倍音成分が付加された音質と、歌手の口の小ささ、楽器の位置まで手に取るようにわかる正確な定位により、目の前で歌い演奏されているようでありながら、実際の歌や演奏より心地よい音の空間(音場)にあります。
その最大の魅力は、真空管の特性により倍音成分が付加された音質と、歌手の口の小ささ、楽器の位置まで手に取るようにわかる正確な定位により、目の前で歌い演奏されているようでありながら、実際の歌や演奏より心地よい音の空間(音場)にあります。
そして実際の歌や演奏より心地よい音の空間(音場)こそが、「マニアが時間と手間を惜しみなくかけなければ、味わうことのできなかった世界!」そのものなんですね。
と言うわけで、復帰早々に真空管6P1のマッチドペアを取ってみたのですが・・・あえなく惨敗。
結構ばらけてるので、耳合わせだと100本の真空管から5セットのペアを取るのが精一杯でした(^ω^;)。
マッチ取るのも真空管の楽しみの一つなんですが、さすがに真空管20本買っても1セットも取れない可能性もあるとかマニアックすぎるので、色々とスケジュール調整して真空管の通電時(温間)実測数値による分類をしてみる事となりました。
およそ30分の通電後、温度が安定してから計測しています。
またその作業と並行して実際の左右出力差を実測してみたりしたんですが、組み合わせや条件が複雑すぎて安定した結果を出せず「マニアが時間と手間を惜しみなくかけなければ、味わうことのできなかった世界!」というのを、これでもか!と言うほど思い知らされました・・・orz
※最初は100本から始まって、あまりにマッチしないので100本づつ追加していき、最終的に500本測って何とか120セットほどのマッチドペアが取れました。
特に困ったのは6P1が完全なデッドストック品だったので、しっかり熱を入れるとボツになる管が結構いたことなんです。※普通は流通段階の振動や、保管時の温度変化で物理的にダメになって、通電までに間引かれるんですよ。
で、これが10分ぐらいの通電だと壊れなくて、20分超えたあたりから死ぬ奴が増えてきて、30分あたりでようやく安定する(苦笑)。
だから30分は通電させないと、せっかく測っても測定直後に昇天したりで二度手間になるから、初期不良の炙り出しも兼ねての、熱入れと計測になりました。
そんなこんなで最終的には、初期不良と計測数値不良で7割弱ぐらいしか使い物になりませんでしたね。
この6P1の計測の後にチューニングモデルの販売詳細が決まったので、続いて6J1軍用選別グレード真空管を測ることとなりました。もともと選別グレードですので適正範囲外の数値は少なく、加熱しても壊れることはないんですが、分母を大きくしないと数値の近いマッチドペアが取れないのは6P1と同じでした。
で、これが10分ぐらいの通電だと壊れなくて、20分超えたあたりから死ぬ奴が増えてきて、30分あたりでようやく安定する(苦笑)。
だから30分は通電させないと、せっかく測っても測定直後に昇天したりで二度手間になるから、初期不良の炙り出しも兼ねての、熱入れと計測になりました。
そんなこんなで最終的には、初期不良と計測数値不良で7割弱ぐらいしか使い物になりませんでしたね。
この6P1の計測の後にチューニングモデルの販売詳細が決まったので、続いて6J1軍用選別グレード真空管を測ることとなりました。もともと選別グレードですので適正範囲外の数値は少なく、加熱しても壊れることはないんですが、分母を大きくしないと数値の近いマッチドペアが取れないのは6P1と同じでした。
■チューニングモデルの測定合格基準
人間の音源(音の方向)特定能力は非常に優秀なのですが、その判別は主に左右の耳に届く音の時間差を感じ取って判断しているのをご存じでしょうか?2chステレオの定位で重要な左右の音量差は、実は本来の人間の感覚とは少し違う方法で音の方向を決定しているんですね。
さて、そこで2chステレオで左右のずれを感じる始める音量差ですが、人間が水平方向の位置を特定しやすい静かな環境の会話時音量60dBで約3dB程度と言われています(興味のある方は、環境工学の騒音の論文など調べてみてください)。
正弦波は周波数が一定で定位が分かり難いので、実際に音楽を再生して音量差をつけても、3dBの差はやや口が大きい程度にしか感じないと思います。
チューニングモデルは、そこからさらに厳しい左右差2dB以内を最大値とし、経年劣化も考え初期値で1.5dB以下へと追い込んでいます。これは真空管がレガシーな能動素子で、時間経過とともに特性が変化するために左右差が出やすいのを考慮したからです。
ちなみに、真空管がマッチドペアでない場合は最大4dB程度の差が出ます。
※定位計測のお話
人間が感じる音圧の周波数による重み付けから、音響特性関連で測定の中央値は1kHzにするのが一般的かと思います(※1)。
コテコテの技術系なら2003年にISO226としてロビンソンのラウドネス曲線を修正した新しいラウドネス曲線が制定され、それを基準とした「3~4kHzが中央値だろ」という話になるんですが、3~4kHzは2Way以上のスピーカではミッドかツイーターが担当している帯域ですし、一般的な母音の含まれる帯域から外れてしまいます。また楽器でも基音F1倍音F2が含まれる帯域ではないので、実は音として感じやすいが方向は分かり難くなるんですね。そのため定位を見る場合は、昔ながらの1kHzの方が適切ですので1kHzを基準にしています(※1)。低音に関しては真ん中のドより1オクターブ下のC3(130Hz)ぐらいが音の出所がピンポイントとして分かる下限ですので、音量差を測って定位を見る場合の下限もその辺りに置けばOKです(※2)。高音は口の小ささを意識しやすい息の漏れや擦過音が10kHzあたりですし、高すぎると方向性が分かりにくくなりますので10kHzとしています。
TUBE-P01Jではゲイン中央から少し下がった値が、最大最小音量で使わない部分を除いた実用範囲の音量全域にほぼ比例(※3)することから、ボリューム10時30分付近で1kHzの正弦波を実測して基準音量をあわせています。
とまあ小難しい話を端折ると、TUBE-P01Jは100Hz,1kHz,10kHzでボリューム10時30分辺りの音量で測ると、全体的な定位の傾向が分かるということですね.d(^▽^)
上の写真見て貰えば分かりますが、マイクはスピーカー計測の定番 BEHRINGER ECM8000 コンデンサーマイク、スピーカーはYAMAHA NS-BP200BPでデスクトップオーディオの定番です。
そのほかには、左右チャンネルを同じスピーカーで鳴らすためのPW-6Jと、音源としてPCとDACが必要です。また正弦波の発生ソフトはスピーカー計測で絶大な支持を受けるWaveGene1.4(※4)を使わせていただきました。
さてここで「出力信号を直接測ればいいんじゃない?」と気づかれた方もいると思うのですが、それでは足りない部分があるので音声信号にして実測をしています。
実際の音声信号での実測が皆さんにお使いいただく状態に近い事、アウトプットトランスは実負荷で誤差が出やすいため、基準の1kHzにたいして実負荷の高低周波数でズレが一定範囲で収まっているかアウトプットトランスのチェックも兼ねています。
(※1)電信電話技術の名残ですね。ボーカルメインで考えるなら600~800Hzでもいいと思っています。
(※2)今回は分かり易いように100Hzで測ってますが、実際には音圧感度悪い周波数ですので結構誤差あっても大丈夫です。
(※3)かなり厳密な真空管のマッチドペアが前提です。
(※4)計測や確認で非常にお世話になっている、オーディオをトコトン楽しむのに必須のソフトです。
そんなこんなで、ユーザー様に突き詰めて貰うのは一部のコアなマニアの方々に任せて、「最初からマッチングを取って完成状態で販売するのが、一番良さを分かってもらえるじゃなかろか?」とスタッフM(※5)の提案により、試しに6J1、6P1両方の厳選したマッチドペアをTUBE-P01Jにセットして実測で確認したところ、かなりの手ごたえを得ることができました。
元々、本体の精度は2年間の開発でかなり上がっていたため、真空管マッチドペア2セットの精度と本体の組み合わせで、マニアの方にもご満足いただける仕上がりにできることが分かり、初回の球数も少ないことからチューニングモデルでの販売となりました。
装着位置を間違わないようにしてくださいね!!
(※5)今回の計測責任者です
もちろん、全く素の状態のTUBE-P01Jの販売も予定はしているのですが、生産国では新型肺炎で工場が回っておりませんから、工場が正常稼働して生産に余裕が出てからとなりますので、今しばらくお待ちください。
▼▼ FX-AUDIO- TUBE-P01Jチューニングモデル ご予約受付開始のご案内 ▼▼
▼▼ FX-AUDIO- TUBE-P01Jチューニングモデル ご予約受付開始のご案内 ▼▼
▼▼ ベースモデル FX-AUDIO- TUBE-P01Jのご紹介 ▼▼